とある先輩の天体観測

ばんわ。

昔話をします。

あたしは中学・高校時代、地学部に入っていました。友達付き合いが苦手なあたしは部活なんて考えてもいなかったのですが、放課後の廊下で大きな天体望遠鏡を運ぼうとしていた先輩を手伝ったのがきっかけで、卒業まで地学部で天文をやっていました。

あたしを誘ってくれたのは、2つ上の当時中学3年生。いつも笑顔を絶やさず、細かな気配りを忘れず、唯一の後輩であるあたしを妹のように大切にしてくれました。口癖は「だーいじょーぶ、大丈夫っ!」

ある時、2人で夜中学校の屋上で流星群を観ようという話が出て、でも許可が下りなくて。でも先輩は強行しようと言う。夜中の守衛さんのパトロール経路が分かれば忍び込むのは簡単でしょ?と。そして口癖の「だーいじょーぶ、大丈夫っ!」とともに先輩がとった行動は、秋葉原のジャンク屋を物色して怪しい部品を買い込んで(あたしは荷物持ちでした…)、暗視カメラをいくつも作って放課後の校内に仕掛け、1週間かけて守衛さんの行動パターンを分析してしまったのです。

先輩の努力は報われず、雲が多くて流星群は少ししか観られませんでしたが、明け方に雲が晴れたため、2人で日の出を眺めていました。いつもの日の出、でも特別な日の出に感じました。

これは、大好きだった先輩との、一番の思い出。危ない橋は決して渡らなかったあたしの、たった一度の冒険。